他者の行動の背景を正しく理解する難しさ

他者の行動の背景を正しく理解する難しさ

帰属理論について説明した上で、帰属に関わるバイアスである根本的な帰属の誤りについて説明し、誤った理解の対策についてまとめます。
Clock Icon2024.09.05

こんにちわ。組織開発 がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。

仕事において難しい仕事に関わるほど、一人で完結することは減り、他者との関わりが重要になってきます。そして、他者の行動によって何か好ましくない状況に陥ったように感じることがあるかもしれません。

一方で、その好ましくない状況は本当に他者の行動が原因とは限りません。つまり、他者の行動を誤解して認識した結果として本来は他者が原因ではないことを他者の責任として認識してしまっているということになります。

こういった他者に関わる誤解が発生するメカニズムを知るうえで、帰属理論がヒントになります。帰属理論について説明した上で、帰属に関わるバイアスである根本的な帰属の誤りについて説明し、誤った理解の対策についてまとめます。

帰属理論とは?

帰属理論Attribution Theory ) は、 人々が自分や他者の行動や出来事の原因をどのように説明し、理解するかを研究する心理学の理論 です。

帰属理論には2つのタイプがあります。

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内的帰属

内的帰属Internal Attribution ) は、 行動や出来事の原因を、個人の性格、能力、努力など、内的な要因に求めること です。

例えば、成績が良かったのは「自分が努力したからだ」と考えることです。

外的帰属

外的帰属External Attribution )は、 行動や出来事の原因を、環境、運、不運、他者の行動など、外的な要因に求めること です。

例えば、成績が悪かったのは「テストが難しすぎたからだ」と考えることです。

根本的な帰属の誤り

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根本的な帰属 ( Fundamental Attribution Error ) の誤りは、 人々が他者の行動の原因を過度にその人の内的な特性(性格や性向など)に帰属させ、状況や環境などの外的要因を過小評価する傾向のこと です。根本的な帰属の誤りは、日常的な判断や対人関係において広く見られるバイアスです。

その背景には、いくつかの要素が影響していると考えられます。まず、人が他者の行動をみたときにその人の性格や能力の影響によってその行動したと考えやすい点があります。人が物事を判断する際に即時で判断するほうが楽ですし、結果も迅速に得られます。そして、素早く判断するには相手との過去の関わりを元にした印象を元に判断するのが手っ取り早いということになります。次に、他者の行動の理由を考える場合、自分自身の行動の判断をするのと比較して情報量が不足します。他者がどのような状況で、何を考えて行動に移ったのかは確認しないとわかりません。そこで事実の確認を端折る場合、推測で判断することになるのですが、推測する材料が相手の過去の印象とそれを元にした性格や能力の特徴などになりがちです。

例えば、個人的に印象が悪い人が業務でミスをしたとします。ここで短絡的に捉えると「雑に仕事をしてミスをしたのだろう」「能力が不足してミスをしたのだろう」という解釈に至ることがありえます。一方で実際は「業務過多の状況が続いていて、集中力が低下していてミスをした」「業務を依頼した人から得た前提情報やタスクのゴールが不明確で、ミスをせざるを得ない状態だった」かもしれません。

根本的な帰属の誤りへの対策

他者の行動に対して根本的な帰属の誤りに陥らないようにするためには、以下のような対策が有効です。これらの対策を意識することで、他者の行動をより正確に理解し、公正な評価ができるようになります。

  1. 状況や環境を考慮する
  2. 内的要因と外的要因のバランスを考える
  3. 自分のバイアスを認識する

1. 状況や環境を考慮する

他者の行動を評価する際、その行動が行われた状況や環境を理解しようとすることが重要です。たとえば、同僚がミスをした場合、そのミスが生じた業務環境や外部の影響を考慮します。

その人の行動の背景を知るために、状況について質問することも効果的です。「何か影響を受けた要因があったのか?」と尋ねることで、状況的な要因を理解することができます。このような状況を確認する際は事実質問が有用です。

2. 内的要因と外的要因のバランスを考える

行動の原因を評価する際に、内的要因(性格や意図)と外的要因(環境や状況)を両方考慮するようにします。これにより、一方に偏った解釈を避けることができます。

「もし自分が同じ状況に置かれていたらどう行動するか?」と考え、外的要因がどのように行動に影響を与えたかを仮説として検討するとことでどちらの要因だったかを判別しやすくなります。仮に、自分もつい同じ行動をとってしまうのであれば、状況の影響ということになります。

3. 自分のバイアスを認識する

根本的な帰属の誤りが自分の判断に影響を与えることを認識し、自分がそのバイアスに陥りやすいことを理解します。自分の判断に疑問を持つことが、偏りを減らす第一歩です。

そのために、他者の行動に対して判断を下す前に、自分の思考プロセスを振り返る習慣をつけることが有効です。「今、私はこの人の性格に原因を求めているのか、それとも状況を考慮しているのか?」と自問します。

まとめ

帰属理論について説明した上で、帰属に関わるバイアスである根本的な帰属の誤りについて説明し、誤った理解の対策についてまとめました。

もし、他者に関して判断を必要とするような出来事があり、状況や背景について考えることなく他者の行動の理由を決めつけている自分に気づいたら、改めて状況を確認してみましょう。

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